ラグジュアリーファッションと動物福祉は両立できる?
ラグジュアリーファッションは長い間、高級感、職人技、高級素材の代名詞でした。
ですが、その魅力の裏にはダークサイドがあります。
多くの高級ブランドは、カーフレザー、エキゾチックスキン、毛皮などの素材に依存し続けており、深刻なエシカル面での懸念を引き起こしています。
意識の高い消費者がより良いものを求めるにつれ、生じる疑問があります。
「真のラグジュアリーは、残酷さを伴わずに存在できるのでしょうか?」
ラグジュアリーのジレンマ
何十年もの間、高級ブランドは動物由来の素材を最高級品として売り出してきました。
特にカーフレザーは、その柔らかさと耐久性で珍重されていますが、生産するために若い動物の殺処分する必要があるのです。
同様に、ワニ、ダチョウ、エイから採れるエキゾチックなレザーは、動物へ苦痛を与えるだけではなく環境破壊の要因ともなっています。
このことをより憂慮させるのは、ラグジュアリー業界の影響力です。
ラグジュアリーブランドがリードすることを他企業も追随するので、こうした素材を使い続けるとメインストリームファッションも同じことをするようになるのです。
なぜまだ合法なのか?
動物由来の製品の中には厳しく規制されているものもありますが、カーフレザーはエシカル面での懸念があるにもかかわらず、広く受け入れられています。
ラグジュアリーブランドは、業界標準を引き合いにこうした素材の使用を認めていますが、このような規制が動物福祉を優先することはほとんどありません。
多くの消費者は、高級ブランドは責任を持って素材を調達しているはずだと思い込んでいますが、よく調べてみるとそうでないことがよくあります。
10社の高級ファッションブランドのサステナビリティ評価をチェックしたところ、衝撃的な結果が出ました。
10社中9社がGood On Youから 「Not Good Enough」(5点満点中1点)と評価され、環境への影響、労働者の権利、動物愛護などの分野で悪い評価を得ていました。
1社のみ「It's a Start」(5点満点中2点)の評価を得ておりましたが、真のエシカル企業にはほど遠いものでした。
高級ブランドは何千ドルもする商品を販売しているのにもかかわらず、サスティナビリティとエシカル面で手を抜いているのです。
高級ブランドで買いたい、最高のものを所有したいと思う人がいるのは理解できます。
所持することがステータスであるのは一昔前と同じように今でも顕著です。
しかし、私が20のトップファッションブランドを調査したところ、カーフレザーを使っていない財布やバッグを見つけることは不可能でした。
WOMSHやDuffle & Coのようなエシカルコネクションのブランドは、意図を持ってレザーを使用していますが、食肉産業の廃棄物からレザーを調達し、有害な金属を使用せずになめすなど、責任を持って使用しています。
私の意見では、人類が何世紀にもわたって行ってきたように食用として飼育された動物のあらゆる部位を使用することと、皮革のためだけに動物を飼育し、寿命を全うする前に若いうちに屠殺することとは、エシカル面で大きな違いがあります。
ショッキングなのは、後者が業界の普通になっていることです。
私が高級店を訪れたとき、店員は実際に子牛の革を使っていることを自慢していたほどです。それが一番気になりました。
皮革用に飼育された子牛の肉はどうなる?
子牛の革であるカーフスキンが食肉の 「副産物 」であるという議論がありますが、それは理論は破綻しているということをみていきましょう。
・ 皮革に使用される子牛の中には、肉は食用になり皮革はファッションに使われる場合もあります。もし常にそうであれば、「廃棄物削減」の主張はもっと重みを持つかもしれません。(しかし、子牛はそれ自体が倫理的な問題を引き起こしている。この業界は、屠殺前の若い子牛を制限された環境に閉じ込めていることで知られており、これらの子牛が若くして殺されるのは、単にその肉がより柔らかいと考えられているからである)。
・ 子牛の多くは、食肉用ではなく、皮革専用に飼育されています。生後数日から数週間で、傷や欠陥ができる前に屠殺されるのは、傷のない皮を高級品に使うためです。
・ 仔牛の消費量は多くの地域で減少しており、皮革の需要がなければ存在しなかった動物もいるのです。このような場合、子牛の革はもはや副産物ではなく、殺処分の目的となっているのです。
エシカルなラグジュアリーブランドの台頭
幸いなことに、一部の伝統あるブランドやデザイナーが起こした新しい波が、ラグジュアリーとクルエルティフリーの実践が共存できることを証明しています。
植物由来のレザー、菌糸体レザー、高品質のリサイクル素材といった革新的な素材が、美しさや耐久性を犠牲にすることのない代替品を提供しています。
ステラ・マッカートニーは、すでに最高レベルでヴィーガン素材をアイテムに取り入れており、ラグジュアリーブランドが動物を犠牲にする必要はないことを示しています。
他の伝統的なラグジュアリーメゾンの中にも、毛皮を禁止し、代替レザーを試しているところが増えてきています。
しかし、真のエシカル面で進歩を進めるために、ファッション業界はカーフレザーから完全に脱却しなければなりません。
ラグジュアリーの新しい定義
ラグジュアリーは動物由来の素材に頼らなければならないという考えはすでに時代遅れです。
真のラグジュアリーとは、品質の高さ、長く使用できること、革新性を表すものであり、残酷なものではありません。
ラグジュアリーファッションの未来は、職人技、エシカルでフェアな調達、動物と地球の両方を尊重するサスティナブルな素材にあります。
私は菜食主義者ではないが、そこが重要なポイントではありません。
あなたが肉を食べようが食べまいが、ファッションのためだけに動物を飼育することは倫理的にどうなのかを考える必要があります。
不必要な苦しみの上に成り立つものが、ラグジュアリーと呼べるのかは疑問が残ります。
消費者である私たちにはファッション業界を変える力を持っています。
エシカルなブランドを支援し、伝統的なラグジュアリーに疑問を投げかけ、透明性を求めることは、残酷さのないファッション界へ向かう大切なステップなのです。
「ラグジュアリー」が真に最高なものであるのならば、そこには必ずエシカルであることも含まれるはずです。
【出典】
https://goodonyou.eco/luxury-brands-harming-animals/
https://goodonyou.eco/is-luxury-fashion-sustainable/
https://zerrin.com/is-leather-ethical-fabric-guide/
https://goodonyou.eco/is-leather-a-by-product-of-the-meat-industry/