リジェネラティブコットンVSオーガニックコットン
近年、サステイナブル・ファッションは大きな進歩を遂げ、ブランドと消費者の双方が、自らの選択が環境に与える影響を意識するようになってきています。
オーガニックコットンが従来のコットンより環境に優しいと認識されていますが、リジェネラティブコットンはさらに一歩先を行くものです。
リジェネラティブコットンは単に害を減らすだけでなく、生態系を積極的に回復させることで注目を集めています。
リジェネラティブコットンの歴史
再生農業は何世紀にもわたって存在してきましたが、リジェネラティブコットン農業の概念は特に気候危機への対応として、ここ10年で注目を集め始めました。
The Regenerative Organic Alliance(2017年設立)のような組織は、土壌の健康、動物福祉、農家の公平性に関するガイドラインを定めたRegenerative Organic Certified®(ROC)基準作りに貢献しました。
リジェネラティブコットンは土壌の劣化を回復させ、保水力を向上させ、さらには大気中の炭素を吸収する可能性が研究によって示されたため、大手ブランドなどがここ5年で採用するようになりました。
リジェネラティブコットンの特徴
リジェネラティブコットンは有機農業を超えたものです。
有害な化学物質を避けるだけでなく、土壌の健全性を高め、生物多様性を回復させ、気候変動との闘いに貢献します。
その鍵となる実践方法をご紹介します。
土壌浸食を防ぐカバークロップ
カバークロップとは、収穫されない植物(クローバーやマメ科植物など)を栽培期の間に植え、土壌を覆い続けることです。
これにより、風や水の浸食を防ぎ、有機物を加え、水分を保持し、土壌をより弾力性のあるものにします。
土壌養分を維持する作物ローテーション
毎年同じ畑に同じ作物を植えるのではなく、農家は異なる作物(例えば、ある年は綿花、次の年は豆類)を輪作します。
これにより、土壌の養分の枯渇を防ぎ、肥沃度を向上させ、病害虫を自然に減らすことができます。
土壌構造を維持する不耕起栽培
不耕起栽培とは、農地を耕さないで作物を栽培する農法です。
従来の農法では、植え付け前に土を耕すため、微生物が乱れ、炭素が失われてしまいますが、不耕起栽培では攪乱されていない土壌に直接種を植えることでこれを回避し、炭素を蓄え、保水性を高め、土壌浸食を抑えます。
家畜を組み込んで自然に肥料を与え、生物多様性を高める
綿花農場で牛や羊のような家畜を放牧すると、糞尿によって自然に土壌が肥沃になり、移動によって土地に空気を送り込み、雑草の抑制に役立ちます。
これにより生物多様性が向上し、化学合成肥料の必要性がなくなります。
・例:再生コットンをリードするTerra Thread
Terra Threadはロサンゼルスを拠点とするバッグブランドで、インドのRegenerative Organic Certified® (ROC)コットン農家と提携してサスティナブルな製品を製造しています。製造パートナーの同社は、土壌の健全性を回復し、生物多様性を増加させ、保水力を向上させる再生農法に従っており、リジェネラティブコットンを気候変動に対する強力なツールにしています。
リジェネラティブ農法とオーガニックコットンの比較
オーガニックコットンは、合成農薬や化学肥料、遺伝子組み換え作物を使用せずに栽培されるため、従来のコットンよりもはるかに優れた選択肢です。
これは土壌の健康を守り、水質汚染を減らし、農家の方にとってより安全な労働条件を作り出すのに役立ちます。
しかし有機農法だけでは、土壌の再生や生物多様性の増加には積極的に働きかけるものではありません。
・例:Silverstickオーガニックコットンへのこだわり
Silverstickはトルコ産のGOTS認証オーガニックコットンのみを使用し、厳しい環境・エシカル基準を満たしています。 Silverstickのようなオーガニックコットンブランドは、有害な化学物質を避け、より良い農業環境を促進することで、よりサスティナブルな繊維生産に貢献しています。 しかし、再生コットンのように生態系を回復させるものではありません。
有機農法についてはこちら
>非オーガニックテキスタイルの隠れた代償
さらにサスティナブルなアプローチ: コットンを完全に避ける
リジェネラティブコットンやオーガニックコットンは従来のコットンよりも優れた代替品ですが、一部のブランドはコットンを完全に排除しより少ない資源しか必要としない他のサスティナブルな素材に重点を置いています。
・例 :Opera Campi - 真にサスティナブルな代替品として麻を使用
Opera Campiは、最もサスティナブルな天然繊維のひとつである麻に焦点を当てています。ヘンプは成長が早く、水をほとんど必要とせず、自然に土壌を再生するため、ファッションにおいて最も環境負荷の少ない素材のひとつです。麻の耐久性と抗菌性は衣服の寿命を延ばし、廃棄物をさらに減らします。
サステナブル素材について詳しくはこちら
>エシカルなファッション素材〜竹、麻、そしてその先へ
より良い方向へ: 変化をもたらす3つの方法
サスティナブルなファッションとは、ひとつの完璧な解決策を指すのではありません。
害を減らし、場合によっては地球を積極的に回復させるような、より良い代替案を選ぶことなのです。
私たちが良い変化をもたらすために重要な3つの方法を改めて復習しましょう。
1. リジェネラティブコットン
最も広範なアプローチであるリジェネラティブ農法は、土壌の健全性を回復し、生物多様性を増加させ、大気中の炭素を回収することで土地を癒します。
この方法は単に害を減らすだけでなく、従来の農法による害を積極的に逆転させるものです。
2. オーガニックコットン
有機農法は、化学合成農薬、化学肥料、遺伝子組み換え作物を排除し、農家を保護し、環境汚染を軽減する、エシカルな優れた選択である。
リジェネラティブ農法のように土地が再生するわけではありませんが、従来のコットンよりもはるかに優れた選択肢です。
3. 代替繊維
麻のように、最もサスティナブルな綿花よりも少ない資源しか必要としない素材もあります。
麻は成長が早く、土壌を自然に回復させ、必要な水も最小限で済むため、最も環境負荷の少ない素材のひとつです。
これらの実践はそれぞれ、ファッション産業が与える悪影響を軽減する上で重要な役割を果たしています。
リジェネラティブコットンのように、サスティナビリティを超えて生態系を積極的に修復するものもあれば、オーガニックコットンのように、伝統的な方法をよりクリーンにすることに重点を置くものもあります。
一方、代替素材はより効率的な方法を提供することで、システム全体の改善に挑戦しています。
最も重要なことはなんでしょう?
可能な限り、より良い選択をサポートすることです。
サスティナブルな素材への需要が高まれば高まるほど、ファッション業界は人と地球の両方を真に尊重するものへとシフトしていくことでしょう。
Check out the brands here…
>Terra Thread
>Silverstick
>Opera Campi
【出典】
https://www.agood.com/blogs/stories/regenerative-cotton-what-is-it-and-why-do-we-need-it
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